売上1180億円のグローバルECを支えるSNS運用とは?ビィ・フォアード土屋氏が語る越境ECビジネスのローカライズSNS・ファン育成術
中古車越境ECのリーディングカンパニーであるビィ・フォアードでデジタルマーケティングを担う土屋汐莉チームマネージャーは、20か国以上にローカライズした全41アカウントのSNS運用、ローカルペイメントの担当経験、そして新規事業への挑戦など、さまざまな事業カテゴリに挑み、ビィ・フォアードの事業成長と自身のスキルアップにつなげてきた。EC業界で活躍する人物のロールモデルとなる土屋氏の取り組みを聞いた。

ビィ・フォアード デジタルビジネスプラットフォーム推進部 デジタルマーケティンググループ デジタル企画チーム チームマネージャー 土屋 汐莉氏。2012年ビィ・フォアードに入社。セールスアシスタントを経て、2016年にマーケティング部に異動。アフリカの販売拠点でのマーケティングや、現地送金(ローカルペイメント)を担当。現在は、アフリカ向け不動産物件掲載プラットフォーム事業を担当し、チームマネージャーとして新規事業をリードする。
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中古車越境EC市場で圧倒的存在感
――ビィ・フォアードは中古車越境ECという難易度の高いカテゴリで214の国と地域か国ものに取引先を持ち、中古車の月間販売台数は約1万5000台と、圧倒的な地位を確立している。まず、EC事業における近年の実績について聞きたい。
ビィ・フォアード 土屋氏(以下、土屋氏):EC事業の売上高は、2024年6月期に前期比9%増の1180億円を達成した。中古車越境EC市場においてはロールモデルとする企業がほとんどない中で、グローバルで認知を獲得、ファンを育成することで業績を拡大してきたことが、当社の特長となっている。
ECサイトおよび、SNSの運用は約20か国向けに展開。各国ごとにローカライズし、自分が運用を担当してきた。SNSの複数チャネルを合計すると合計で41アカウントとなる。


――土屋さんのビィ・フォアード参加の経緯は。
土屋氏:渡米経験を生かし、英語を生かせる仕事を探していた。2012年にビィ・フォアードに入社した。入社前までは米国で生活していた。
20か国にローカライズした「現地側SNS」の運用
――中古車越境ECは、各国の規制や為替リスクなど、一般のECにはない複雑な壁が存在する。ビィ・フォアードのEC事業が昨今の規模まで成長を遂げた背景には何があるか。
土屋氏:要因の1つに、アフリカでスマートフォンとSNSの普及が急速に進んだことがあげられる。2000〜2010年代にかけて、アフリカでは「リープフロッグ現象」(編注:途上国が既存の技術やインフラを飛び越えて、いきなり最新技術を導入することで急速な発展を遂げる現象)が起きた。
アフリカを含む、ビィ・フォアードのお客さまの約7割がスマートフォンを通じて車を購入しており、日常生活でもモバイルマネーやメッセージングアプリを積極的に活用している。
こうした背景のもと、SNSマーケティングは、遠く離れた国のお客さまとの距離を縮め、信頼関係を築くために欠かせない戦略となっている。
――具体的にはどのようなSNS運用か。
土屋氏:現在ではFacebook、 Instagram、 TikTok、 YouTubeを含め全41アカウントのSNSチャネルを運用している。
ビィ・フォアードのメインのSNSアカウントだけでなく、たとえばタンザニアなど各国のオーディエンスに特化したアカウントを作成し、現地に即した情報発信を行っている。
また各SNSアカウントを通じてフォトコンテストやクイズ形式のプロモーションを行うことでBE FORWARDブランドの認知拡大とファンの獲得を常に意識した取り組みを行っている。
アフリカでは偽エージェントや詐欺被害が発生するケースも少なくないため、公式ブランドによる運用の統一を徹底し、信頼性を維持することも重要視している。

ローカルペイメントを担ったインフラ経験
――経歴をさかのぼると、土屋さんは現地のインフラ部門での経験を積み上げてきた。
土屋氏:2016年にマーケティング部に異動して以降、アフリカの販売拠点でのマーケティングに加え、ECにとって最も重要なインフラである現地の物流サービスや、現地送金(ローカルペイメント)の担当も経験した。この経験は、越境ECの重要なファクターの1つを、机上の空論ではなく現地側から理解することを可能にした。
ECでの車の購入において、最も重要なインフラのひとつが「送金システム」。当初は海外送金のみでの支払い対応だったため、高額な取引に対するお客さまの不安をいかに払拭するかが大きな課題だった。実際に現地に足を運び、現場でのリアルなニーズを把握することでサービス改善へとつなげることができた。
現在ビィ・フォアードでは、ローカル決済に加えてオンライン決済も導入し、より多様なニーズに対応できる決済環境を整えている。
多角化したチャネルで新規事業を拡張
――SNSだけでなく、現地マーケティング、決済など、さまざまな領域を経験している。
土屋氏:そのノウハウを生かして、現在は、アフリカ地域での不動産物件掲載プラットフォーム「BE FORWARD Homes」という新規事業を担当している。これは自分にとって、中古車ECで培った「グローバルでの認知・ファン育成ノウハウ」を、新しい越境ビジネスに生かす挑戦でもある。
中古車ECという既存のチャネルの信用を生かしつつ、新しい市場に切り込んでいく。既存事業の成長とともに、これがビィ・フォアードの成長の鍵となっている。
不動産物件は、中古車とは違った商品ではあるが、ビィ・フォアードが中古車ECで培ってきたグローバルな認知度とファン育成のノウハウを最大限に活用した、次なる越境ビジネスにチャレンジしている。
BE FORWARDブランドのさらなる拡張をめざし、各国のお客さまのライフステージに寄り添えるサービスをつなげていくことを目標としている。

土屋氏が受賞者の1人として登壇! 11月6日(木)、第3回「ネットショップ担当者アワード」授賞式を開催します! 東京・赤坂インターシティコンファレンスにて14時25分から開会。参加無料(事前登録制)です。ふるってご参加ください! ★第3回授賞式・受賞者の詳細はこちら:https://netshop.impress.co.jp/award/2025/ceremony |
