Digital Commerce 360[転載元] 8:00

「TikTok」のショッピング機能「TikTok Shop」のようなライブストリーミングを通じた顧客とのコミュニケーション、商品販売に取り組む小売事業者が増えています。米国の大手家電メーカーのライブストリーミングの取り組みから、視聴者に響きやすい配信者のキャラクターやコミュニケーションの重要性などの理解を深めてほしい。

「TikTok Shop」はリアルタイムで顧客の好みやニーズを知れる場所

米国の大手家電メーカーSharkNinja(シャークニンジャ)は、DtoCの販路だけでなく、ECモール、SNS上のコマース機能などさまざまなマーケットプレイスで商品を販売しています。その1つである「TikTok Shop」には、ライブストリーミング型という特長があります。

SharkNinjaの日本向けECサイト(画像はサイトから編集部追加)
SharkNinjaの日本向けECサイト(画像はサイトから編集部追加)

SharkNinjaの小売販売は、マーケットプレイスによって戦略が異なります。グローバルデジタルエクスペリエンス担当兼シニアバイスプレジデントであるカルバン・アンダーソン氏によると、「一定の成功」を収めているのがAmazonやeBay。北米最大のオンラインマーケットプレイスであるAmazonでの露出、eBayの再販サービスが売り上げに貢献しており、恩恵を受けているそうです。一方、ライブストリーミングがある「TikTok Shop」については「より遊び心のある場所」と表現しています。

アンダーソン氏は米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』に対し、次のように「TikTok Shop」の利点を説明します。

「TikTok Shop」は、消費者との接点として好ましいチャネルの1つ。なぜなら、何時間もライブストリームを続け、時には数千人が同時に視聴し、リアルタイムでチャットできるからです。私とチームメンバーは、大規模かつ長時間のライブストリームを行うたびに、顧客の好みや行動、そしてリアルタイムでどのような顧客からのアクションが起きるかについて、より多くのことを学べると感じています。(アンダーソン氏)

視聴者のニーズに応える配信術

アンダーソン氏と彼のチームは、SharkNinjaのライブストリームの配信中は毎回、視聴しているユーザーのニーズに応えるよう努めています。

当初は、非常に長い配信プログラムを組み、6~7時間の配信で何を話すかを正確に設計していました。しかし今は、消費者が特定の話題に反応し始めたら、そのニーズに応えるために、配信内容を柔軟に変更しています。(アンダーソン氏)

アンダーソン氏は、ライブストリーミングは「1対1の瞬間が最も大切」と言います。

配信を観ている数百万人の視聴者を相手に、一度に会話するのではなく、SharkNinja側の配信者にチャットで話しかけてくる人とコミュニケーションしています。その会話を1万人の人々が見て、心を引かれ、SharkNinjaの家電ブランドを好きになってもらうということが大切です。それをできることが、小売事業者が積極的に取り入れるべきライブストリーミングの特長です。会話で楽しませ、ときには遊び心を取り入れて、視聴者にとって楽しい存在になることが大切です。(アンダーソン氏)

SharkNinjaのブランドイメージ(SharkNinjaのYouTubeアカウントから追加)

配信市場の理解が深まるのは中国

一方で、アンダーソン氏は「ライブストリーミングの浸透や、視聴者からの反響は国や地域によって異なる」と説明し、中国を「ライブストリーミング市場の中心地」だと表現しています。

小売事業者は中国向け市場から、消費者に響くライブストリーム配信者のキャラクター、消費者が反応しやすいジョーク、プロモーションなどへの理解を学ぶことができます。

中国では、多くの消費者がライブショッピングをエンターテイメントとして楽しむことに慣れていますが、欧米の消費者はまだそこまで慣れていません

また、欧米文化になじみのある中国以外のアジア圏ユーザーも、まだそこまで慣れていません。中国以外の国や地域にライブショッピングを浸透させるため、小売事業者はさらに努力する必要があると感じています。

ライブストリーミングに取り組む多くの小売事業者はまだ、消費者と直接会話したり、ジョークを交わしたりするような、本当の意味で消費者を楽しませる方法をまだ見つけられていないのだと思います。(アンダーソン氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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