「上場企業」の平均年収はいくら? 2024年度は671万円。業界最高は海運で1052万円、証券関連が934万円
帝国データバンク(TDB)が7月15日に発表した上場企業の平均年収の調査結果によると、2024年度の平均年収は約671万円、業界最高は海運で約1052万円、証券関連が約934万円だった。
TDBは2024年度決算期(2024年4月-2025年3月期)を迎えた上場企業のうち、有価証券報告書に「平均年間給与・従業員平均年齢・勤続年数」の記載がある企業を対象に調査した。
上場企業の平均年収は?
2024年度決算期(2024年4月-2025年3月期)の全上場企業約3800社における平均年間給与は671万1000円で、前年の651万4000円から3.0%増で、4年連続の増加だった。平均給与・前年度からの増加額・伸び率ともに過去20年で最高となった。
TDBは厚生労働省が集計した民間主要企業における2024年の平均賃上げ率(5.33%)に比べると伸び率は見劣りするものの、依然として3%を超える高い水準の給与アップの動きが続いたとしている。

なお、2024年度の平均給与額が最も高い企業は投資ファンドの「インテグラル」(2577万円、東証グロース)だった。
産業別で年収が高いのは?
産業別では海運業が1052万3000円で最も高かった。全業界で唯一1000万円を超えた。平均給与額が1400万円台の「商船三井」「日本郵船」(東証プライム)など、対象となる海運企業全てが上場企業平均を上回る水準となった。次に年収が高い産業は「証券、商品先物取引業」で934万7000円だった。

「陸運業」の伸び率がトップ
前年度から最も伸び率が高かった産業は「陸運業」で13.7%増の645万円だった。集計可能な2003年度以降で、初めて陸運業の上場企業平均が600万円台となった。宅配便などの物流企業のほか、鉄道・バスなど旅客輸送を含む陸運業では、ドライバー不足の解消を目的に、大卒初任給や既存給与テーブルを大幅に引き上げる動きが目立ち、各平均給与にもこうした賃上げの動きが反映された見られるとしている。
上場市場別で年収が高いのは?
上場市場別では、最も平均年間給与が高かったのは「東証プライム(市場)」上場企業で平均763万3000円。次いで「東証グロース」が629万円となり、前身となる旧東証ジャスダック・マザーズ両市場時代を含め、2年連続で600万円を超えた。
また、全市場(東証・名証・福証)で平均500万円を超えた。全市場のうち前年度からの伸び率が最も高かったのは「名証」で前年度比5.0%、金額にして29.0万円増となった。最も低かったのは「福証」で同1.2%、6.3万円増だった。

TDBでは「2025年度も引き続き、物価高のほか、人材確保を目的に初任給など給与テーブルを大幅に引き上げる事例が目立つ」と指摘している。一方で、輸出関連の製造業を中心に米国の関税政策の影響などで企業業績を下押しする不安材料もあり「好調な業績に支えられてきた賃上げムードが委縮する可能性もある」と予測している。