ユーザー行動を可視化できる「スワイプ型LP」、従来の分析手法では見えなかったユーザーの「心の動き」が見えるって本当?

スクロール型LPに限界を感じていませんか? ユーザーの「直感」を数値化し、LP改善の常識を覆す「スワイプ型LP」の真価を解き明かします。行動経済学の理論に基づき、なぜ従来の分析手法では見えなかったユーザーの「心の動き」が、スワイプ型LPで可視化できるのか?具体的なデータ取得と改善アプローチ、そしてマーケティングの新たなテストフィールドとしての可能性を解説します。
ユーザー行動を可視化できるLPが生き残りを分ける時代へ
スマートフォンが当たり前となった今、Web上での情報接触は“スクロールしながらなんとなく眺める”という行動様式に変化しました。情報があふれ、広告に対するユーザーの反応は厳しくなっています。
ネット広告はまさに“戦国時代”。
限られた予算で成果を最大化するためには、広告運用の精度はもちろん、成果を受け止めるLP(ランディングページ)をどれだけ最適化できるか──。つまり、LPO(Landing Page Optimization)こそが企業の生き残りを左右する時代に突入しているのです。
そんななかで注目されているのが「スワイプ型LP」です。スワイプ型LPは1画面1メッセージの構造を持ち、読み飛ばしを防ぎながらユーザーの理解を深めるUIです。
ですが、その真価は“読まれやすさ”だけではありません。
スワイプ型LPは、定量的な分析データを簡単に取得できるという大きな特長を持っています。たとえば、各ステップの到達率・滞在時間・離脱率・CTA(Call to Action)クリック率・CVR(コンバージョン率)などを画面単位で取得できるため、どこが機能していて、どこに改善余地があるのかを可視化できます。
従来のLPでは、ヒートマップなどの定性的な評価が中心で、「なんとなくこの辺が読まれていそう」といった曖昧な分析に頼るしかありませんでした。しかし、スワイプ型LPなら数値に基づく論理的な改善アプローチが可能になるのです。

「LPを見る行動」は直感的である
ここで視点を少し広げてみましょう。私たちはLPを見るとき、いちいち熟慮しながら読んでいるでしょうか? そうではありませんよね。
多くの場合、ユーザーは直感的に「なんとなく良さそう」「ちょっと違う」と感じながらスクロールしたり、スワイプしたり、離脱したりしています。
このような判断を説明するのに有名なのが、ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者ダニエル・カーネマンによる「システム1/システム2」の理論です。
カーネマンは人間の思考には2つのシステムがあると提唱しました。
- システム1:直感的・無意識・速い・感情に左右されやすい
- システム2:熟慮的・論理的・遅い・意識的に考える
LPを見る行動のほとんどは、このシステム1=直感に基づいた判断だと言えます。

マーケティング分析の前提に潜むズレ
ところが、私たちがLPを改善しようとする時、使ってきた分析手法の多くはシステム2的な前提に基づいています。
たとえば、ユーザーアンケートやコンジョイント分析、ユーザーテストなど、どれも「比較・検討・評価」といった熟慮が必要な行動を前提としています。
しかし実際には、ユーザーの行動は「なんとなく」で動いている──。この“直感的行動”と“熟慮的分析”のギャップが、マーケティングにおける見えにくいズレを生んでいました。
このズレを埋める可能性を持っているのが、まさにスワイプ型LPです。
スワイプ型LPにおける各操作──スワイプして進む、止まる、戻る、CTAを押す──こうした行動は、ユーザーが深く考える前に反応したシステム1の表れである可能性が高い。しかも、それらが画面単位のログとして定量的に記録できるのです。
これは、マーケティングにおいて極めて新しい視点です。これまで“感覚”でしか見られなかった「心が動いた瞬間」を、ユーザーの直感行動として数値で捉えることができるのです
たとえば、あるセールスコピーで離脱率が明らかにあがったなら、それは「なんとなく引っかかった」「感情的に違和感を感じた」ポイントかもしれません。逆に、途中でCTAボタンを押したユーザーが多い構成なら、「その前のステップが無意識に心を動かした」可能性がある。
このように、スワイプ型LPは“感情の痕跡”を行動ログとして捉えることで、UX・心理・成果の接点を可視化することができるのです。

マーケティングの「テストフィールド」としてのスワイプ型LP
こうした構造を活かすことで、スワイプ型LPはマーケティングにおけるテストフィールドとしても非常に有効です。
従来のA/Bテストでは最終成果(CVR)だけを見るケースが一般的でしたが、スワイプ型LPではどのステップでユーザーの心が動いたのか、どのステップで違和感を覚えたのかを、ページ単位で捉えることができます。
たとえば、2つの異なるコピーや構成を持つLPを走らせ、各ステップごとの離脱率・到達率・反応率を比較することで、どの表現がより直感的に響いたのかが明らかになります。
これは、「直感に働きかけるコピーや構成」を数値的にテストできるという意味で、感性を可視化するマーケティングが可能になることを意味します。
直感・行動・データがつながる時代へ
マーケティングにおいて、ユーザーの判断がシステム1に基づくものであるという前提は、今後さらに重要になるでしょう。一方で、その行動を定量的に測れる手段は多くは存在しません。
スワイプ型LPは、「読み進められる設計」だけでなく、「直感の動きを測る構造」を持った、非常にユニークなLPフォーマットです。UX設計、心理理解、データ分析が三位一体となる時代において、スワイプ型LPは“現場で使える行動科学”を実現するツールといえるのではないでしょうか。
