鳥栖 剛[執筆] 7:00

経済産業省は8月29日に公表した「令和8年度税制改正要望」で、食事補助制度における非課税限度額の引き上げを明記した。

食事補助制度は、企業が従業員に食事代を補助する際、一定の条件を満たせばその金額は非課税とする制度。国税庁が示す運用ルールでは、月額3500円までの食事補助であれば非課税扱いとするとされており、これを「食事補助の非課税上限」と呼んでいる。

この非課税の適用を受けるには、「企業からの補助額が月額3500円以下であること」「従業員が食事代の半額以上を自己負担していること」が条件となる。

非課税限度額の月額3500円は1984年の物価水準を基準としたもので、40年以上見直されていない。「足元の物価上昇の状況などを踏まえ、本制度の非課税限度額の引き上げを行う」として税制改正要望に明記した。

食事補助の非課税限度額引き上げを! 経済産業省が「税制改正要望」に食事補助制度の見直しを明記
非課税限度額は40年以上見直されていない(画像は経産省の公表資料から編集部がキャプチャ)

今後、年末までに省庁間の折衝と並行して与党の「税制調査会」が審議し、民間企業の声なども踏まえて調整を進める。2026年の制度改正の実現に向けた動きが大きく前進した。

松屋、吉野家、ハイデイ日高などの外食事業者らによる任意団体「食事補助上限枠緩和を促進する会」では、これまでに国会議員へ要望書を提出するなど限度額見直しの要望を行っている。同会が要望している主な内容は「食事補助非課税枠月額3500円を6000円以上まで約70%拡大すること」。 食事補助非課税枠上限拡大のメリットとして、①従業員の実質的な手取り賃金の増加による物価高への対応②ランチの欠食の解消、より健康的な食事の選択、共食の促進など、大人の食育の推進③中小企業の人材課題解消労働生産性改善、非正規雇用労働者の待遇改善④平均ランチ代が引き上がることによる、飲食産業に対する消費拡大――をあげている。

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