鳥栖 剛[執筆] 9:00

ストライプジャパンは8月29日、2024年に実施した「3Dセキュアの利用動向に関する調査」を分析し、日本、フランス、イギリスでのビジネスにおける認証と決済完了に関する各国の特長を発表した。それによると、日本では「3Dセキュア2.0」義務化で取引は4倍増、決済完了率は平均93%。6割が操作を必要としない認証で処理されているという。

日本

2025年3月までに「3Dセキュア」の導入が原則必須となった日本。その後、「3Dセキュア」を通した取引が4倍に増加し、決済完了率は平均93%と高い水準を維持しているという。

高い決済完了率を維持している理由は、日本では取引の60%がフリクションレス(顧客の操作を必要としない認証)で処理されているとしている。さらに、カード所有者がワンタイムパスワードに慣れていることがあげられるという。また、不審請求の申し立て率は前年同期と比較して30%低下したという。

決済完了率は平均93%と高い水準を維持

一部の取引で認証成功率が低下する事例もあったが、カード発行会社との連携と各カード発行会社の要件に合わせて「3Dセキュア」要求のデータを最適化することで、これらの課題を迅速に解決することができたという。

フランス

フランスでは不正利用の対策として、カード発行会社に対して認証なしの取引は拒否するように推奨。そのため、フランスのカード発行会社は、他の欧州地域よりも約100%、イギリスのカード発行会社より200%の高い割合で二要素認証を実行している。

2024年前半で「3Dセキュア」要求率は15%増加し、フリクションレスフロー(ワンタイムパスワードなどの認証情報を入力せずに、認証を完了すること)は40%も増えたという。他国よりも認証を求める回数が多いが、二要素認証のチャレンジ成功率と決済完了率が高い水準で維持されていることも明らかになってるという。

「3Dセキュア」における成功は2点ある。1つ目は、事業者が「3Dセキュア」を積極的に活用し、豊富なデータを持つ取引に対して強力な顧客認証(SCA)の免除をより多く承認しているという技術的な要因。2つ目は、ICカードの導入が早かったため、国民が二要素認証に慣れているという文化的な要因があったと考えられるとしている。

イギリス

イギリスでの認証成功率は、他のSCA市場よりも5〜10%高い。チャレンジ成功率も高水準を記録しているという。また、イギリスのカード発行会社は欧州のカード発行会社よりも、10ポイント高く免除要求を受け入れていることが判明しているとしている。

承認成功率が高い理由は、金融規制当局である英国金融行為規制機構(FCA)によって、SCAの導入に猶予期間が与えられたことが要因の1つとして考えられるという。これにより、カード発行会社はリスクベースの意思決定システムへの投資、顧客の認証体験を改善するためのインフラ構築に時間を取ることが可能になった。

たとえば、従来のワンタイムパスワードではなく、よりスムーズなプッシュ通知を利用することで、ユーザーの認証体験を向上させている。実際に、チャレンジの75%以上が銀行アプリを通じて認証されており、その多くが生体認証を利用しているため、顧客はより簡単かつ安全に認証を完了できているという。


Stripeでは今回のデータ分析を通じて、認証規制のある市場でも、決済完了率を維持しながら不正を削減することは可能であり、各市場の特性に合わせた戦略が重要であることが分かるとしている。

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