EC構築サービス「BASE」が始めた「ローカルオンラインショップ構想」とは? 地元離れの課題を抱える自治体などと連携

BASEはこのほど、あらゆる地域でECを通じた収入源の多様化や所得向上の実現をめざす「ローカルオンラインショップ構想」を始動した。第1弾として6月24日、兵庫県豊岡市と協働し、オンラインショップ「豊岡BASE」をオープンした。
「地方創生2.0」を背景にBASEの取り組みが始動
BASEの「ローカルオンラインショップ構想」が始動した背景には、日本政府による「地方創生2.0」を掲げた大規模な地方創生策の推進への取り組みがある。
2024年12月に政府が発表した「地方創生2.0の『基本的な考え方』」では、地方を離れる動きが加速している若者や女性にとって魅力ある働き方・職場作りを官民連携で進める必要性が強調されている。
このような状況を受けてBASEは、雇用機会や収入の不足などによる地元離れの課題を抱える自治体などと連携、あらゆる地域でECを通じた収入源の多様化や所得向上の実現をめざす新たな仕組みとして「ローカルオンラインショップ構想」を始動した。これまでの経験で得た知見を活かして本構想を確立し、全国の行政・自治体などとの連携を進める。
第1弾の取り組みで兵庫県豊岡市と協働、「豊岡BASE」をオープン
構想の第1弾として兵庫県豊岡市と協働する。兵庫県の北部に位置する豊岡市は、若年層の流出が続いており、一次産業や伝統産業の担い手不足や現役世代の人口減少といった課題を抱えている。
その解決策の1つとして、豊岡市は2014年から地域おこし協力隊制度を導入、積極的に隊員を受け入れている。延べ100人以上を受け入れ、直近5年間に地域おこし協力隊として任期の満了を迎えた人の定住率は77.8%と全国平均(55.7%)を大幅に上回る。
一方、これまで一部の任期満了者は暮らしていくために必要な収入を得られるビジネスプランの構築や現地でのキャリア形成が難しく、定住を断念せざるを得ないケースがあったという。
そこでBASEと豊岡市が協働し、任期を終えた元・地域おこし協力隊員4名が運営するオンラインショップ「豊岡BASE」をオープンする。「豊岡BASE」の運営メンバーは、豊岡市の伝統産業である「杞柳細工(きりゅうざいく)」や「出石焼(いずしやき)」を手がける伝統技術の継承者と、地元の旬のフルーツや野菜を使用した料理や加工品を作る事業に取り組む起業家で構成。豊岡市にゆかりのある商品を販売する。

商品開発や製造技術には自信があるものの、販路開拓に知見がないという運営メンバーの課題に対し、BASEがネットショップの構築から運営、売上支援までを全面的にサポート。豊岡市は地域おこし協力隊員のネットワーク化や学習機会の提供など、コミュニティ形成や現地での運営を支援する。
今後、豊岡市内のさまざまな事業者の参画を促し、豊岡市ならではの商品ラインナップの拡充に加え、商品や人との出会いを創出する。こうした一連の取り組みを通じて、豊岡市の若者の定着や移住促進、地域全体の活性化につなげていくとしている。
この取組みを通じて、これまで以上に、豊岡市において地域資源を活用したクリエイティブな仕事と地方での魅力的な暮らしが両立する事例が増えていくとともに、「地方で暮らし、地方で稼ぐ」取り組みが豊岡市から全国に広がっていくことを期待している。(豊岡市 門間雄司市長)
「豊岡BASE」の取り組みを通じて、豊岡市の魅力を発信されている方々の一助となり、地域における収入源の多様化や地域産業の活性化につながる持続的な環境づくりに貢献していきたい。(BASE・BASE事業責任者 林田秀平氏)