鳥栖 剛[執筆] 5/27 9:00

富士経済が発表したペットフード・ペットケアと生活用品の国内市場の調査結果によると、2027年の市場規模は2024年比5.2%増の6660億円になると予測している。

富士経済が発表したペットフード・ペットケアと生活用品の国内市場の調査結果によると、2027年の市場規模は2024年比5.2%増の6660億円になると予測
2024年の市場は各カテゴリーの伸長により前年比3.7%増の6332億円に

2024年の市場規模は各カテゴリーの伸長で前年比3.7%増の6332億円だった。前年の伸び率は下回ったものの、ペットフードが市場拡大をけん引したほか、ペットケア、ペット生活用品も堅調だった。

2023年までは商品値上げをペットオーナーが許容する傾向にあったが、直近はコスト意識が高まっていることから、参入企業は買い得感のあるマルチパック商品の展開や付加価値商品の開発に注力。2025年以降もプレミアムフードやスナックを中心としたペットフードの伸び、ペットケア用品とペット生活用品の堅調な需要により、市場は小幅ながら拡大が続くと見ている。

ペットフード

ペットフードの市場は、2023年は大幅値上げがプラスに働き前年比11.9%増となった。2024年の市場は価格改定が落ち着いたことにより伸びは鈍化したものの、キャットフードの堅調な需要がけん引し前年比4.5%増の4931億円となった。ペットフードは、フードのほかスナックやサプリメント、療法食なども含む。

キャットフードは、スタンダードフードからプレミアムフードへのスイッチが続いており、単価上昇により好調だったという。2025年以降も市場をけん引すると予測されるものの、スタンダードフードが安価なPB商品に一部需要流出していることなどから、伸び率の低下が予想されるとした。

ドッグフードはドライフードではプレミアムフードが好調であるが、ウェットフードやセミモイストフードが苦戦しているため、今後横ばいが続くと富士経済はみている。スナックはキャットスナックと犬用ガムの堅調な伸びが予想される。サプリメントは海のスーパーフードともいわれているモエギイガイ抽出物を配合した商品の好調や、動物病院ルートで医薬品と併せた商品の提案などにより、今後も伸びが期待されるとした。

ペットフードの販売チャネルは、ホームセンターと通販で5割以上を占めた。ペットオーナーの節約志向により安価な商品を展開する総合ディスカウントストアでの販売も伸びている。

ペットケア用品

ペットケア用品は、猫砂とトイレ/トイレ用シーツで8割弱を占め、2024年の市場は前年比1.3%増の917億円となった。ペットオーナーの節約志向の高まりにより低価格商品やPB商品へのシフトが見られた。一方で高額商品も一定の需要を獲得しており、今後も市場はほぼ横ばいと予想した。好調なのはデンタルケア用品であり、参入メーカーによる啓発活動や製品ラインアップの充実化により、今後の伸びが期待されるとした。

ペットケア用品の販売チャネルは、ホームセンターや通販で6割以上を占めた。また、しつけ剤やイヤークリーナーなどは、使用法の説明を受けるためペットショップで購入するケースも多い。

ペット生活用品

ペット生活用品の市場は、2024年は飼育頭数の減少やペットオーナーの節約志向により耐久消費財である首輪や引紐、ブラシ/クシなどの買い控えがあったため苦戦した。暖冬の影響を受けてマットやヒーターなどの季節商材の需要が低迷。一方、外出機会の増加によりキャリーが大きく伸び、また、ペットの家族化を受け衣類が好調だった。今後も耐久消費財を中心に節約志向の影響を受けることから、市場は停滞すると富士経済はみている。

販売チャネルは、ホームセンターが主軸であるが、近年はキャリーや衣類、水槽などの品揃えが豊富な通販が伸びている。また、初めてのペット購入者によるペットショップの利用が多い。

注目市場

富士経済ではペットフード・ペットケアと生活用品における注目市場として「ペット家電」と「デンタルケア用品」を取り上げた。

ペット家電

ペット家電はペット用見守りカメラ、自動給餌器・給水器、猫用自動トイレ、ペット用脱臭機、ペット用バリカン・グルーミング機器、ペット用ドライヤールーム、ペット用ヒーターが対象。 2024年のペット家電市場は前年比13.0%増の52億円、2027年には2024年比21.2%増の63億円に伸びると予測している。

富士経済が発表したペットフード・ペットケアと生活用品の国内市場の調査結果によると、2027年の市場規模は2024年比5.2%増の6660億円になると予測
ペット家電はペット用見守りカメラ、自動給餌器・給水器などが対象

単身や共働き世帯のペット飼育率が上昇したことなどが市場拡大の要因とみている。そのほか2024年は大手家電量販店や大手家具店の参入も市場拡大に繋がったとしている。2025年以降も積極的な商品開発や、参入各社の販促活動により、堅調な拡大を予想している。

なかでも市場規模が大きいのは、ペット用見守りカメラや自動給餌器/給水器とした。ペット用見守りカメラは、海外メ ーカー品を中心に比較的安価で展開されている商品が多く、普及が進んだ。自動給餌器/給水器は、ペットの留守番が浸透したことにより需要が増えた。近年はペットに対するヘルスケア意識の高まりや、カメラや音声録音など様々な機能が付いた製品の展開も進んでいる。ペット用バリカン・グルーミング機器は、トリミング料金の上昇によりサロンでの手入れ 回数を減らすペットオーナーが増加しているため伸びたという。参入企業の積極的なプロモーション活動による認知度向上がユーザーの広がりに貢献した。 

販売チャネルは、サイズが大きい製品もあるため、自宅へ配送され品揃えも豊富な通販が6割を占める。家電量販店でペットの見守りカメラや自動給餌器などの取り扱いが増えており、新たな購入チャネルとして注目とした。

デンタルケア用品

デンタルケア用品は、ホームセンターやペットショップなどの一般小売ルートで販売されている歯磨きジェル、ペースト、歯磨きシート、歯ブラシ、口臭予防スプレー、飲水添加タイプなどを対象とした。2024年の市場は前年比5.6%増の19億円、2027年市場は2024年比で10.5%増となる21億円と予測している。
 

富士経済が発表したペットフード・ペットケアと生活用品の国内市場の調査結果によると、2027年の市場規模は2024年比5.2%増の6660億円になると予測
デンタルケア用品は歯磨きジェル、ペースト、歯磨きシート、歯ブラシなどが対象

ペットのデンタルケアへの関心度の高まりや、メーカーによる販促活動の強化、製品ラインアップの充実化が進 んだことから、市場は拡大した。ペットのデンタルケア実施率はまだ低く、市場拡大の余地は大きいとした。参入企業は実施率を高めるための啓発活動を積極的に進めており、デンタルケア訴求のスナックや玩具(ともに市場対象外)の購入増加に伴うデンタルケア意識向上が、ケア用品の購入につながる効果も期待されるため、今後も順調な市場拡大が予想されるとした。

 販売チャネルは、ペットショップとホームセンターの店頭販売が中心。また、初回購入時にペットショップで説明を受けて、以降は通販で購入するケースも多く、通販は今後有望な販売チャネルだとした。

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