鳥栖 剛[執筆] 6:30

公正取引委員会は6月24日、2024年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果と優越的地位の濫用事案の処理状況を公表した。独占禁止法上問題になる可能性につながる行為の荷主646人に注意喚起したことを明らかにした。

公取委は荷主による物流事業者に対する優越的地位の乱用を効果的に規制する観点から、独禁法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定。遵守状況や荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に実施している。 また、「優越的地位濫用事件タスクフォース」では、調査で物流事業者から寄せられた荷主の行為に関する情報も活用して荷主と物流事業者との取引に関する優越的地位の濫用事案を処理している。

荷主と物流事業者との取引に関する調査結果

荷主と物流事業者向けの調査を実施(荷主と物流事業者との物品の運送または保管に関する継続的な取引が対象)。その結果を踏まえ、労務費、原材料価格、エネルギーコストなどのコスト上昇分の取引価格への反映の必要性を協議することなく取引価格を据え置く行為などが疑われる事案に関し、荷主100人に対する立入調査を実施した。

また、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主646人に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。注意喚起を実施した荷主の上位3業種は、「協同組合」「飲食料品卸売業」「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」の順だった。

問題につながる恐れのある行為についての回答を行為類型別に見ると、「不当な給付内容の変更及びやり直し」「代金の支払遅延」「買いたたき」の順に多かった。

公正取引委員会は2024年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果と優越的地位の濫用事案の処理状況について公表
「不当な給付内容の変更及びやり直し」「代金の支払遅延」「買いたたき」の順に多かった(画像は公取委のサイトから編集部がキャプチャ)

荷主と物流事業者との取引に関する優越的地位の乱用事案

優越タスクフォースなどにおける荷主と物流事業者との取引に関する優越的地位の乱用事案について、1件の法的措置、1件の警告、29件の注意を実施した。

注意対象となった行為類型を見ると、「買いたたき」が22件で最多。次いで「不当な給付内容の変更及びやり直し」が15件、「不当な経済上の利益の提供要請」及び「代金の減額」が各7件だった。

公取委は今回の調査結果について、関係省庁及び関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取り組みを進めていくとしている。

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