日本の消費者のAI活用率は12%、マーケティング領域でAI投資を検討する小売事業者の割合は24%
決済プラットフォームを提供するAdyenが発表した消費者の決済体験と企業のテクノロジー投資に関する年次調査「リテールレポート 2025」によると、日本の消費者のAI活用率は12%、マーケティング領域でAI投資を検討する小売事業者の割合は24%だった。
調査は世界28か国・地域を対象に、消費者4万1089人、小売企業1万4003社(日本から消費者2000人、企業300社を含む)を対象に実施した。
消費者と小売事業者に対するAI調査
消費者のAI活用率
日本の消費者の買い物時のAI活用の傾向は、前年比4ポイント増の12%が買い物の際にAIを活用。このうち35%が今後もAIを購買に活用するといった前向きな意向を示していることがわかった。一方、グローバルの平均は37%。日本単体は25ポイント下回った。
AIを活用する日本の消費者のうち、34%が「小売業者はAIを活用して興味のありそうな商品を提案してきている」と認識している。また、34%が服や食事などを選ぶ際にAIからヒントを得るなど、AIの活用に対しては好意的な反応が見られた。35%は「AIを活用して、ユニークなブランドを発見したい」と回答した。
世代別のAI活用状況について、日本では全世代で買い物の際のAI活用が増加しており、特にX世代(44~59歳)では過去1年間で59%増、Z世代(16歳~27歳)では42%増と顕著に増加している。Z世代が買い物にAIを活用する割合が27%と最も多く、次にミレニアル世代(28~43歳)が13%で続いた。
小売業者のAI導入状況
小売業者のAI導入状況についても調べた。日本の小売事業者は、2025年の売上拡大戦略について「AIやテクノロジーの導入」を主要な施策の1つとしあげている。
また、企業の24%が「販売・マーケティング領域でのAI投資」を検討、同数が商品開発にAIを活用する意向を示している。ただ、グローバル(32%)、APAC(34%)と比較した際、日本の小売事業者のAIへの投資意欲は消極的だった。
実店舗とオンラインのシームレスな買い物体験調査
買い物体験についても調査した。日本の消費者の21%がSNS、アプリ、オンラインストアなど複数のチャネルを通じて一貫した買い物体験を期待しており、18%はすでにSNSで買い物をしていると回答した。テクノロジーやオンライン体験がブランドと顧客の新たな接点を創出していることも明らかになった。
一方、日本の消費者の約半数(47%)は依然として実店舗での購買を好んでおり、オンラインでのショッピングを好む消費者は21%にとどまった。実店舗を好む理由は、「実際に商品を見て触れたい」(44%)、「試着したい」(25%)といった意見のほか、24%が「商品をその場で持ち帰ることができることを好む」など、即時性の利点についても言及があった。
新技術への投資が進む一方、オンラインとオフラインのチャネルをシームレスに連携させた購買体験を提供している日本の小売業者は全体の28%。「今後12か月以内にこの機能を導入予定」と回答したのは13%、また「店舗限定の特別な体験を提供する計画がある」との回答は11%だった。
こうした結果を踏まえAdyenは、日本においては、AIに限らず統合型コマースの手法は重要と言えると調査を総括した。
調査概要
【消費者調査】
- 調査期間:2025年2月26日~2025年3月12日
- 対象者: 28カ国・地域の4万1089人(16歳以上)※日本:2000人
- 対象国・地域(五十音順):アイルランド、アラブ首長国連邦、イタリア、インド、英国、エストニア、オーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スウェーデン、スペイン、チェコ、デンマーク、ドイツ、日本、ノルウェー、フランス、ブラジル、米国、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マレーシア、メキシコ、ラトビア、リトアニア
【加盟店調査】
- 調査期間:2025年2月10日~2025年3月12日
- 対象者:28カ国・地域の14,003の小売企業※日本:300社
- 対象国・地域(五十音順):アイルランド、アラブ首長国連邦、イタリア、英国、エストニア、オーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール、スウェーデン、スペイン、チェコ、中国、デンマーク、ドイツ、日本、ノルウェー、フランス、ブラジル、米国、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、マレーシア、メキシコ、ラトビア、リトアニア
- 調査機関:Censuswide