宮本和弥[執筆] 7:30

牛丼店「松屋」をチェーン展開する松屋フーズと食品EC特化のコンサルティング事業を展開するGastroduceJapanによる食品EC支援の合弁会社であるモールハックは6月11日、ショート動画プラットフォーム「TikTok」のEC機能「TikTokShop」が2025年夏に日本で本格ローンチされることを踏まえ、食品EC市場における構造的なパラダイムシフトについて見解を発表した。

「TikTok Shop」の国内本格展開で、食品EC業界では次のようなパラダイムシフトが起きるとモールハックは指摘する。

若年層へのリーチが飛躍的に拡大

「TikTok」のZ世代・ミレニアル世代を中心とした膨大なユーザー基盤により、今までアプローチできなかった新たな層に直接リーチできるようになる。

飲食店・パティスリーのEC参入が爆発的に増加

「TikTok Shop」への出店コストは固定費0円、手数料7%(カード決済込)。これまで“参入障壁”に悩んでいた飲食店や個人店、高級パティスリーでもEC展開が現実的になるとする。

“話題で売れる”時代の本格到来

クリエイターの投稿→商品ページへの導線が“ワンタップで完結”。「自分で宣伝しなくても売れる」構造で、販路の概念自体が刷新される。

食品ECに特化した“共感消費”の販路が確立

型番商品よりも、「こだわり」や「ストーリー」のある商品と相性が良いと指摘。特にギフト、お取り寄せ、手作り食品などの魅力がダイレクトに伝わるため、「楽天市場」「Amazon」を凌駕する販路となる可能性を秘めると予想する。

単品集中で“数千万売れる”世界が見える

商品の多さではなく、「1商品×1動画×1クリエイター」の勝負で売り上げが跳ねるという設計。小規模、個人経営でも、やり方次第で“バズって売れる”土壌が整うとする。

なお、モールハックは「TikTokShop」の成功について、アカウント運用ではなく、次のような仕組み化と外部連携が鍵を握ると見ている。

  • アフィリエイター(外部クリエイター)の選定・囲い込み
  • TikTok広告のテンプレート化・運用自動化
  • 成果報酬型のテスト展開で、最小コストで最大成果を追求

「TikTok Shop」での食品ジャンル展開は2025年7月から、まずは常温食品(ギフト・菓子・調味料)からスタート。2025年内には冷凍食品の取り扱いも予定となっている。そのため、惣菜・精肉・海鮮・デザートなどの本格展開が期待される。

モールハックは、「TikTok」内では“投げ銭”文化が一般化しており、リアルタイムの食品販売が若年層のスタンダードになる可能性が高く、今から備えることが競争優位につながると見ている。

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