楽天が始める小売向け万引き抑止+販売促進のAIサイネージソリューション「楽天安心サイネージ」とは
楽天グループは6月4日、AI映像解析ソリューションの開発などを手がけるAWLと共同で、AIサイネージソリューション「楽天安心サイネージ」の申込受付を開始したと発表した。スーパーマーケットやドラッグストアなどの小売店舗を対象に、万引き抑止と販売促進を同時に実現できるAIサイネージソリューションとして提供する。
万引き抑止は、店内に設置するカメラにより万引き行為が特定された対象者をリスト化し、一定の条件を満たした場合にAIを活用した顔認識技術を用いて警告などを行うという。

販売促進は、サイネージに付いているカメラの映像を基に、性別や年齢層など来店者の属性をAIが識別、属性に適した各小売店舗の特売情報や新商品などのプロモーション情報を配信する。通行者数や視聴者数、視聴時間、属性などのデータを蓄積・分析することで、それぞれの顧客層に特化した商品をプロモーションできるという。

「楽天安心サイネージ」は万引き対策のコスト削減、店舗売上の向上を実現し、小売店舗の収益性の向上を総合的に支援するとしている。
導入を希望する場合、専用Webサイトから「楽天安心サイネージ」の詳細について問い合わせする必要がある。サービス担当者が各小売店舗における万引き抑止や販売促進に関する課題・要望などをヒアリングした上で、実店舗での現地調査を実施、カメラやサイネージなどの設置場所・台数などを含めて最適なプランを提案する。
導入時はカメラやサイネージの費用、工事費などの負担はなく、月額料金のみとなる。導入後も死活監視ツールでシステムが正常に稼働しているかを24時間監視し、不具合が起きた際には遠隔または現地での調査や整備などの保守管理を行う。また、AIに接続したカメラで集積したデータを分析し、販売促進などの目的に応じて統計データをレポーティングするオプションも用意している。
楽天とAWLは2021年から共同でAI技術を活用した事業開発に取り組み、小売店舗での販売促進に向けたさまざまな実証実験を手がけてきた。ソリューションの検討を続けるなかで、小売店舗では万引き被害が深刻化しており、利益圧迫、従業員の安全や顧客からの信頼に影響を及ぼす問題となっていることがわかった。こうした状況を受け、2024年5月から2025年5月にはサッポロドラッグストアーの協力のもと、ドラッグストア「サツドラ」の一部店舗において実証実験を行い、小売店舗としての防犯ノウハウなどの共有を受けた。