通販新聞[転載元] 7:00

サザビーリーグ子会社のEGBAが運営するアパレルブランド「COHINA(コヒナ)」は数少ない“小柄女性”専業ブランドとして支持を得ている。当該市場に参入する大手アパレル企業も現れ、より一層の差別化が求められる中、市場のパイオニアとしてどのような戦略を描くのか。田中絢子コヒナ事業部長に取り組みや今後の展望について聞いた。

田中絢子コヒナ事業部長
田中絢子コヒナ事業部長

「コヒナ」ヒットの理由

――小柄女性向けアパレル市場は広がりを見せている。

「コヒナ」立ち上げ当初は、小柄女性に特化したアパレルブランドは2、3個ほどしかなかった。そこから数年間で拡大したことを考えると、“セグメントを切る”ことに市場の関心が集まっているのかなと。生き残るためには、お客さまが本当に必要としているものを作らなければならない。

「コヒナ」ECサイトトップページ(画像はサイトから追加)
「コヒナ」ECサイトトップページ(画像はサイトから追加)

昨今は小柄女性に限らず、「自分に似合う服が知りたい」というニーズが高まっているのを感じる。すべての層を取り込みに行く必要はなく、ブランドの価値観を明確にして、相性の良いお客さまを取り込んでいくことが大事だ。

ただ、一口に小柄女性といっても、バックグラウンドはさまざまなので、セグメントは切りすぎないようにしている。普通身長の人が当たり前に着ているベーシックなアイテムを、小柄女性がぴったり着こなせるようになるためのサポートがしたい。

支持されるワケの1つはフィット感

――「コヒナ」が支持される理由は。

着た時に想像以上のフィット感を味わえるところは、コヒナならではないか。単にフリーサイズの洋服をサイズダウンするのではなく、小柄女性の体型が綺麗に見えるようにデザインを一から起こしている。たとえば、腰の位置が高く見えるように工夫したり、手首や足首など一部分をスッキリと見せるデザインにしたりしている。

――現状の課題感は。

「インスタグラムでコヒナをフォローしているけど、商品を買ったことがない」というお客さまがものすごく多い。顧客満足のためには定期的にアンケートを実施し、意見やリクエストを定性的にもらうようにしている。

オフラインを強化、モノを売るだけではない空間作りを重視

東京・青山に予約制ショールーム出店

――昨今の取り組みは。

オフライン施策を強化している。今年2月には渋谷ヒカリエのリミテッドストアを刷新し、青山にブランド初のショールームをオープンした。お客さまにじっくりと商品を選んでもらえるよう、ショールームは1枠90分の予約制にした。マネキンは150センチ前後の高さに統一するなど、内装はすべて小柄女性の身長に合わせたオリジナル設計だ。業界関係者やスタイリストに商品の貸し出しも行っている。

東京・青山にオープンしたショールーム(画像は「コヒナ」のECサイトから追加)
東京・青山にオープンしたショールーム(画像は「コヒナ」のECサイトから追加)

――オフライン販売のあり方は。

ただ物を売るだけでなく、お客さまとのコミュニケーションや空間づくりは軽視せずに取り組んでいきたい。売り上げには直結しにくい部分かもしれないが、そこにブランドのロイヤリティが宿ると考えている。

動画配信で集客

5年連続で毎日配信

――新規獲得や定着に向けた施策は。

新規獲得では、リール動画などの短尺動画を使って集客している。インスタライブでは5年連続毎日配信を行っていて、開始当初に比べるとコンテンツのバリエーションも増えてきた。

お年玉クーポンの配布や視聴者限定オリジナルグッズ販売など、特別企画も行っている。最近ではインスタの視聴者を全身コーディネートする「変身企画」などの新しい取り組みも予定している。インスタはある種オウンドメディア的な役割も兼ね備えている。小柄女性のためのお役立ち情報をインスタに集約させて、ブランドへの入り口にしたい

スタッフ1人ひとりの発信力を高めることも重要で、それがブランド価値や集客につながっていくと思う。スタッフ発信のコンテンツは会社としてしっかりフォローアップしていきたい。

「コヒナ」ECサイトではスタッフによるコーディネートを紹介している(画像はサイトから追加)
「コヒナ」ECサイトではスタッフによるコーディネートを紹介している(画像はサイトから追加)

スタッフは「接客」以上の役割を提供

――スタッフの属性は。

ママさんスタッフからいわゆる「バリキャリ」的な方まで年代もさまざま。やはり小柄な女性が多いが、採用面で明確な基準を設けているわけではない。オフラインイベントに積極的に参加するスタッフも多い。インスタライブで見た人に直接会えるのはお客さまにとっても嬉しいはず

――採用面は。

今はとにかく店舗側の採用が急務だ。お客さまにとってスタッフは、いわば「同じ悩みを共有できる存在」単なる接客にとどまらず、それ以上の役割を提供したい。ブランドの世界観は一朝一夕で身につくものではないので、まずは社内教育が試されるところかなと。

サザビーリーグ傘下となり店舗展開加速

――昨年9月にサザビーリーグの傘下となった。

サザビーリーグにジョインして、出店強化の流れはより加速した。今後、店舗売り上げは確実に増加していくだろう。ただ、店舗数は増やしていくものの、あくまでもEC中心という軸はぶらさずにいきたい顧客接点拡大のために店舗を活用したい

海外展開は中国大陸から進出視野

――海外進出に対する考えは変化したか。

方向性は以前と変わらず、それに向けてより強力なバックアップが付いたという風に捉えている。サザビーリーグは海外EC展開や海外ブランドのインポートが強いので、ぜひ力を借りたいところ。

――海外進出の具体的な動きは。

小柄女性のニーズが大きい中国大陸などから展開していきたいアジア圏だけでなく全世界に小柄女性向けアパレルの需要があることは感じている。実際にヨーロッパから「コヒナ」の商品を購入されるお客さまも多い。

ヨーロッパの方々は平均身長が高い分、小柄女性にとっては自分に合う洋服を見つけられない深刻度が高いのではないか。

※記事初出時にタイトル内の社名に誤りがあり、6/10 10時45分に修正いたしました。訂正し、お詫び申し上げます。

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